名古屋市公会堂は、昭和5年に昭和天皇のご成婚記念事業で建てられ、今も開館当時の姿をそのままに残しています。
それが評価され、開館90周年にあたる令和2年(2020年)に国の有形文化財(建造物)に登録されました。
名古屋市公会堂の概要
名古屋市公会堂は名古屋市昭和区の鶴舞公園内に所在している。昭和5年(1930)に昭和天皇のご成婚記念事業で建築され、設計は名古屋市建築課が担当し、施工は大林組、大阪鉄工所、清水組など、多数の業者が請け負っている。
名古屋市公会堂が位置する鶴舞公園は、明治42年(1909)に開園され、噴水塔と奏楽堂の二つの建物が鶴舞公園の東西の軸となっている。名古屋市公会堂はその噴水塔と奏楽堂が形成する東西軸に直交するように噴水塔の北に配置され、名古屋市公会堂と噴水塔が鶴舞公園の南北軸を形成する。
名古屋市公会堂は戦後に米軍に徴収されたが、名古屋市に返還された後の昭和33年(1958)に玄関庇の復旧、連結椅子の整備、冷暖房用の空気吹出口の取付けなどが完了し、昭和55年(1980)には外部タイルの部分補修やエレベーターの取替えなどの改修が行われている。その後、平成31年(2019)に耐震補強を始めとした大改修を完了し、現在に至っている。
外観は全体的に落ち着いた茶色の色調で整えられ、最上階の円形アーチや隅部の丸み、半円形窓などロマネスク的な表現が特徴的である。内部は1階から3階まで吹抜けの大ホールを中心にし、各階その周囲に集会室や和室などの部屋を置く。
このように名古屋市公会堂は度重なる改修があるものの、創建時の様相を大きく損なうことなく残されており、昭和初期の鉄骨鉄筋コンクリート建造築の好例となる建造物である。
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